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○創作物で描かれる宇宙人、エイリアンという存在は大抵の場合神秘や大いなる存在のメタファーとして作るものなのですが、この『第9地区』に出てくるエイリアンは貧困と差別のメタとして描かれています。
 その最下層に居る者たちが、SF武器を持って反抗するというテーマ性とわかりやすいエンタメのバランスが良い秀作なのでとてもオススメですよ。


 ○主人公はエイリアンたちのスラムを整地する側の人間だったのですが、とある液体を浴びる事で身体に異変が生じ、エイリアン通称「エビ」へと身体が変化していきます。
 それが元でエイリアンの武器を使う事が出来るようになり、軍事企業に解剖されそうになって逃げ出す事になるというあらすじ。
 主人公の肉体の変化の過程がなかなか痛々しい物で直視するには辛いかもしれません。とにかく主人公が酷い目痛い目に会う映画なので、それもなかなか辛い。


○エイリアンの人権を思うままに踏みにじる立場から、踏みにじられる立場になって生まれる感情や仲間意識などなどテーマに沿った描写はきちんとしています。
 そしてそれらを踏まえた上での、後半のロボット戦が良い! エイリアンの超技術がふんだんに使われたそのロボットはとても強い! 主人公を追ってきた兵士たちをばったばったとミンチにしていく爽快感! ここまで溜まっていたうっぷんを晴らすかのような活躍です。


○このようにテーマ性とエンタメが高い次元で融合している映画なのでとてもオススメです。ラストの切ないワンショットなど、楽しいだけじゃなく観た後に残る物があるのは良い映画の証拠。
 ちょっと描写がスプラッタに近いのが問題ではあるのですが。そういうのが苦手な人は注意。


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