竹書房 (2010-11-05)
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○カンニング竹山が主演の、猫を乗っけたタクシー運転手の物語。
○普通にその主題を与えられて物語を構成するとなると、猫を乗っけたタクシーが話題に。そして商売大繁盛。主人公は家庭の問題も何だかんだで解決して、幸せになりました、という流れに持っていって当たり前。
ただそれをこの作品は、『誠実さ』という物で見事に潰しにかかっている。
○動物愛護の観点から猫をタクシーに客と乗車させる事についての問題。それらが周りに波及した場合のブーム後の猫の処分についての問題。当たり前に出てくるそれら、普通映画作品などでは考えないようにしている部分に対しての追求がなされる。
みんなハッピーだったのは映画の上映時間だけで、そこから先のお話を考える人なんていないのだから無視しても構わないはずの所をわざわざ教えてくれる。
数多くあるいくつかの倫理観を無視してもハッピーな映画に比べるととても『誠実』なのだが、悲しい事にそれは楽しさに繋がっていない。娯楽映画なのだから楽しい所だけ人は見ていたいのだ。責任や社会的倫理なんて、映画の中で改めて感じたいだなんて思わない。
○映画のラストは主人公は元の教職に戻っていきます。
猫と共に人生を歩んだからこそ元の場所に戻ってこれたのだという解釈も出来ますが、結局タクシー運転手の職業はつなぎだったのねというような感想も出てきてしまって、非常に収まりが悪い。すっきりはしない。
○安直な動物感動モノだと思っていただけに、なにやらいろんな事を余計に考えさせられてしまいました。
ある意味でそれは貴重な映画だとは思うものの、それを休日の午後にのんびりしながらみたいのかと言われればそうではないというか。
非常に正しい映画ではあるのですが、その『正しさ』は見てる人には優しい作品じゃなかったなーと思いました。
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