20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2014-02-05)
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○なかなか酷い邦題の映画だと思います。
原作の小説の名前は「ティファニーで子育てを」だそうですが、そっちの方が万倍マシだとは思います。
ティファニー出てこないけど。タイトル詐欺では原作に旗あがるのか……。
○大学卒業したての一般女性の目線から、上流階級の人間の子育てを観察するというストーリーです。
下層からの反抗心とか、絶望とか、希望とかが映画のテーマとしてよく使われるのは映画を観る大多数の人間は中流から下の人たちなのだという当たり前のマーケットがあってのものだと思いますが、そんな人達でもたまには上の方からの風景を見たくなるという欲求もありまして、こういう映画が作られるのだと思います。
下に住んでいる人間だって、山に登ってみたくなるのです。
○基本的なフォーマットとしては一般的な感覚を持った主人公から見た、上流階級の子育ての滑稽さを笑うような話ではあるのですが、あまり子育ての他人任せっぷりが逸脱していないので楽しく感じる事はありませんでした。いや、難しい話だとは思うんですけどね。関心が無い事を誇張するっていうのも。
例えば彼ら上流階級の目指す子育てのトリビアなどを挟んで行けば観客の興味を引けたと思うのですが、そういう所もあまりエンターテイメントにはなっていませんでした。添加物を子どもに食べさせないために、それ専門にあるお店に行くとかさ、そういう一般家庭では何の関係もない所に神経質になっている部分をクローズアップしてもよろしかったのではないでしょうか。
問題を農薬問題にまで飛躍させて、無農薬野菜の方が結果的に栄養少ないとか皮肉っても良かったのよ。
○映画公開は2007年なのですが、この7年の間に日本の社会の変化によって上流階級を笑う映画というよりは、ブラック企業からなかなか抜け出せない主人公のお話として観た方が自然になっている所が、社会の業の深さを浮き彫りにしているような気がします。
金持ちの癖に金払いの悪い劣悪の職場環境なはずなのですが、今更家に帰れないといった感情やら子どもへの感情移入やらで身動き出来なくなっている主人公がなんとも言えなく悲しいです。
○映画としてのカタルシスも少なく、雇い主への反抗がタイトル通りに監視カメラ付きのテディベアに向かってキレるだけという主人公のヘタレっぷりもなかなかなもんだと思います。
ちょっと期待していた爽快感も可笑しさも得ることが出来ない映画でした。がっかり。
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