Happinet(SB)(D) (2011-08-02)
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○世の中には掃いて捨てるほどゾンビ映画が溢れているわけですが、それだけ数があると作り手達はありとあらゆる方向で他の映画との差別化を図ろうとします。
個人的にはゾンビ映画の見どころはそういった製作者側の工夫にあるのではないのでしょうか。一生懸命出したアイディアで面白くしようという気概は、もの作りの基本のように思えます。
○それでこの映画、『コリン LOVE OF THE DEAD』は今までのゾンビ映画の根底を覆し、ゾンビ側の目線で物語を描いた作品になっています。開始10分足らずでゾンビになってしまった主人公は荒れ果てた街を歩きまわり、もはやゾンビよりも暴力的にさえ思える人間たちに遭遇する事になります。
○最後は映画開始時に居た家へと戻ってきた主人公ゾンビには何だか切なさを感じます。タイトルの死の愛とはどういう事なのか考えさせられますね。
○と、ここまでは褒めましたが、全体的なクオリティとしてこの映画には足りない部分が多すぎます。
まずこの映画、低予算である事を謳っているのですが、いくら映画にかけた金が少ないからって、それを観る観客は映画チケット代やレンタルビデオ代が割引されるわけじゃないので、そこを宣伝されても何の関係も無い事なのでやめて欲しいです。
低予算とは思えない映像出しているかと言われれば、そうとは言えないので余計にそう思います。
○撮影機材がカメラひとつしか無いので何が起っているのか分からないカットは賛否分かれますね。多分ありのままを綺麗にとってしまうと、すごく粗が目立つようになると思うので。手ブレを意識した揺れる画面だからこそ、まだ形となっている可能性があります。
○脚本は完全にあってないような物ですね。基本的にゾンビ側から見た人間性の恐ろしさみたいな物を描いていると思うのですが、まだまだお話的に練れただろうと思います。良いアイディアを思いついたものだから他のすべてがそれを通すためにおざなりになってしまうというのは良く見かける事なのですけど、どうせならきっちりと細部までこだわって作って欲しいですね。とても残念に思います。
○総評的に、ひとつのアイディアは尖っているので、それを斬新だと思う人は受け入れてくれるかもしれませんが、全体的な完成度を愛する人にはちょっと勧めづらい映画であると思います。
まあ殆どインディーズのムービーなので尖った部分あればそれでオッケーという世界ではあるのですが、だからと言ってあんまりよろしくない部分に目をつぶってもしょうがないとは思います。
あまりオススメしません!!(断言)
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